網膜静脈閉塞症

網膜静脈閉塞症とは

網膜の静脈が閉塞する(血管が詰まって血液が流れなくなる)病気です。糖尿病網膜症と並び、眼底出血を起こす代表的な原因に挙げられます。
動脈硬化を認める60歳台以上に多い疾患です。
日本での40歳以上の有病率は2.0%(分枝閉塞症)といわれています。
基礎疾患として細動脈硬化がみられる高血圧や糖尿病、脂質異常症が関連します。

静脈が詰まると、そこまで流れてきた血液の行く手が阻まれ、静脈から血液があふれ出し眼底出血を起こしたり、網膜内に閉じ込められ網膜浮腫(網膜のむくみ)を起こします。

網膜静脈閉塞症は、静脈閉塞が起きた場所により、呼び方や病状に違いがあります。

網膜静脈分枝閉塞症静脈の枝が閉塞
網膜中心静脈閉塞症静脈の幹が閉塞 一般的に視力予後悪い 治療回数多く必要

網膜静脈閉塞症の症状は?

  • ものが歪んで見える
  • 一番みたいところが見えなくなる

静脈閉塞による黄斑浮腫(おうはんふしゅ)、眼の真ん中のむくみ

黄斑(おうはん)は網膜のほぼ中央にあり、ほかの部分の網膜に比べて視機能が高く、物を見る要の部分です。静脈が詰まることで、血管内皮増殖因子(VEGF)というサイトカイン(生理活性物質)が産生されます。この物質には血管壁から血液成分が漏れやすくする作用もあるため、黄斑浮腫(むくみ)の原因となります。

治療

眼球への抗VEGF薬注射

抗VEGF薬という薬を眼球に注射する方法です。浮腫を抑える効果が高く、現在第一選択薬として広く使用されています。組織の血流が不足すると、そこに新しい血管を作るのを促す血管内皮増殖因子(VEGF)というサイトカイン(生理活性物質)が産生されます。この物質には血管壁から血液成分が漏れやすくする作用もあるため、黄斑浮腫の原因となります。VEGFの働きを抑制する抗VEGF薬を眼球に注射すると、浮腫が改善します。眼内炎発症予防のため手術室で施行します。

トリアムシノロンの注射

トリアムシノロンというステロイド薬を眼の側に注射します。抗VEGF薬より効果は劣りますが、安価で外来で施行することが可能です。

レーザー光凝固術

浮腫が起きている部分に向けて瞳孔からレーザー光を当て、網膜を凝固し浮腫の原因の血管瘤(こぶ)などを凝固し、浮腫が長引くのを抑えます。
血流が悪い部位を広く認める場合には、その部位全体にレーザーを当てて、網膜に新生血管や手術適応疾患である硝子体出血や新生血管緑内障の発症を予防します。

硝子体手術

新生血管からの眼底出血を多く認め、視力低下している場合には手術が必要になります。
出血と眼の奥の硝子体(しょうしたい)を手術できれいにすることで視機能が改善しやすくなります。